最新データで読み解く不動産市況の第2部では、現在市場で起きている「高級物件 vs 手頃な物件の二極化」と、価格を下支えする「新築供給不足」について解説します。
2026年7月度のデータで最も顕著に表れたのが、価格帯(価格ティア)による成長率の極端な違いです。
全国の「上位25%(アッパー・クオータイル/高級住宅層)」の価格は、直近3ヶ月間で-3.2%の大幅下落を記録しました。高金利によって富裕層や高額ローンの借り入れ能力が直接的に削られたことで、高級物件の取引が冷え込んでいます。
対照的に、市場の「下位25%(ローリン・クオータイル/手頃な住宅層)」は、直近3ヶ月でも+0.3%のプラス成長を維持しています。
買い手の借入上限が下がったことで、市場の全需要が「手の届く価格帯」の物件に集中しており、予算の限られた買い手同士による価格競合がエントリー層の物件価格を底支えしています。
売り物件の在庫状況を見ると、過去数ヶ月で新規売り出し物件(New Listings)が昨年度比で2.1%増加傾向にあり、市場の在庫選択肢は広がりつつあります。
売り出し物件の増加に伴い売主の希望価格と買主の成約価格の差を示す「売り手ディスカウント率(Vendor Discount)」は3.1%へ拡大しており、買い手が以前よりも強気な価格交渉を行える環境へ変化しつつあります。オークション成約率(Clearance Rate)も50%を下回る水準で推移しており、買い手が慎重な姿勢を強めていることが分かります。
この数値を見ると、政府が打ち出した不動産投資に対する税制改革の効果は顕著に出てきているように見受けられます。
不動産市場で価格の調整が一部進む一方で、ゴールドコースト新築市場の「供給難」は相変わらず壊滅的です。
クイーンズランド州南東部計画(通称:Shaping SEQ)で求められる年間約4,500戸の新築供給に対し、ゴールドコーストでの新規分譲マンション完成戸数は2025年の1,900戸から2026年には1,400戸に減少、実に年間3,000戸超の供給不足となり、2027年にこの数値を大幅に下回る見込みです。
資材・人件費の高騰や建築許可の遅れが重なる一方、年間約15,000人の人口流入が続いているため、この根本的な供給不足がゴールドコーストの不動産価格の急落を防ぐ強い安全網となっています。
次回、【第3部】再加速する家賃と政策金利4.35%の金融環境では、利回りの回復傾向とローンの現状を解説します!

データ元:Cotality(旧CoreLogic)