「節税(ネガティブ・ギアリング)を前提とした従来のレバレッジ投資」の時代は終焉を迎えつつあります。中古物件での節税効果が消え、新築には出口(売却時)の流動性リスクが潜む中、個人の不動産投資家には単なる「税制頼み」から脱却した新たなポートフォリオ戦略が求められています。
これからの市場において重要な指針となるのは、以下の4つのアプローチです。
① キャッシュフロー重視への転換(ポジティブ・ギアリング)
値上がり益(キャピタルゲイン)や節税効果だけに期待するのではなく、購入時点で高い利回りを確保し、単体で黒字(ポジティブ・ギアリング)またはトントンを維持できる物件選びが必須となります。幸いにも不動産市場は加熱気味な状態から冷めつつあり、賃貸市場が引き締まっている中で良い価格で購入できるチャンスが巡ってきています。その結果、利回りが上がりポジティブキャッシュフローが見込めますので、このタイミングを活かした方が良いでしょう。
② 中古物件の「実質バリュー投資」とリノベーション
投資家需要の後退によって中古市場の競合が緩和される局面は、資金力のある投資家にとって優良物件を安く仕入れる好機(バリュー投資)でもあります。また、既存物件の増築やノックダウン・リビルド(解体新築)など、「新築扱い」へとバリューアップを図る手法も有効な選択肢となります。
③ 誰もが欲しがる「将来性のある住居エリア」の見極め
新築や住居系物件に投資する場合、将来的に誰もが住みたくなるような資産価値の高いエリアを見極める目利きがこれまで以上に重要になります。ここで陥りがちなのが「単に価格が安いから」という理由だけで郊外の新築を買ってしまうケースですが、空き家リスクはないものの、不便な場所はニーズが弱く、十分な家賃が取れないため、結果的に価格低迷に直面してしまいます。誰もが欲しがる有望エリアを引き当てるためには、自治体の再開発計画、交通インフラの延伸、商業施設の誘致といった都市開発情報を日頃からまめに収集し、先回りして動く情報収集力が不可欠です。
④ 住宅系から「商業物件(コマーシャル)」への資産分散
住宅系物件の利回りが圧縮され税金面の規制が強まる中、ポートフォリオの一部として「商業物件(オフィス、店舗、産業用倉庫など)」を組み入れることも有効です。商業物件は住宅系に比べて実質利回り(Net
Yield)が高く、光熱費や固定資産税などのランニングコストをテナント側が負担する契約(Outgoings負担)が一般的であるため、手元に安定したキャッシュフローを残しやすいという大きな強みがあります。また、中古の商業物件はネガティブギアリングの対象から外れていませんので、税制の優遇性を活かせるということにもなります。
政策や需給の歪みに惑わされることなく、不動産投資の原点である「立地・需給・キャッシュフロー」という本質的なファンダメンタルズに立ち返ることこそが、政府の施策に惑わされることなく勝ち続ける鍵となります。
