今回の制度改定で「新築物件は従来通り損益通算(ネガティブ・ギアリング)を認める」とされた背景には、苦い歴史的教訓があります。実はオーストラリアでは1985年(ホーク政権下)にも一度ネガティブ・ギアリングが全面的に廃止されました。しかし、投資家の激減によって賃貸市場がパニックに陥り、シニーなどで家賃が急騰(約30%上昇)したため、わずか2年後の1987年には制度の撤回(再導入)を余儀なくされた経緯があります。
こうした過去の教訓を踏まえた「新築限定」という折衷案ですが、実は新築を購入する投資家にとって最大の盲点となるのが「売却時(出口戦略)」です。
新築として購入した物件も、数年後に売却する際には当然「中古物件」となります。その際、次の買い手となる投資家はネガティブ・ギアリングを使えません。つまり、中古市場での投資家需要という大きな層が削がれた状態(狭まった市場)で売却相手を探すことになります。
これまでは投資家同士の競り合いによって中古でも高いキャピタルゲイン(売却益)が期待できましたが、中古市場の購買力が下がれば、想定していた価格で売れなくなるリスクが高まります。「入口(節税)」のメリットだけで新築に飛びつくと、「出口(売却)」で壁にぶつかるかもしれない——そんな新たな構造リスクに留意する必要があります。
最終編では、今後どのような戦略を持って投資を検討していったら良いのか? 考えてみたいと思います。
