オーストラリアの「ネガティブ・ギアリング」とは、不動産投資で生じた赤字(ローン利息や維持費が家賃収入を上回る額)を給与所得等と損益通算し、個人の所得税を節税できる仕組みです(日本でも同様な制度があります)。これまで投資家の強力な武器となってきた本制度ですが、政府が「中古物件のみ対象外(新築限定化)」へと舵を切った背景には、深刻な住宅不足と若年層の持ち家取得難への強い危機感があります。
オーストラリア統計局(ABS)の新規融資データを見ると、住宅市場の買い手は「住み替え・買い替え層(約4割)」、「投資家(約3.5割)」、「初回住宅購入者(ファーストホームバイヤー:約2.5割)」の3大勢力で構成されています。特に手頃な価格帯の中古住宅市場では、大きな自己資金を持つ「住み替え層」に加え、節税目的の「投資家」と、マイホームを狙う「初回購入者」が同じパイをめぐって激しく競合してきました。
今回のネガティブギアリングの制度改正では、中古物件の適用除外により、投資家が中古市場から撤退する(または新築へシフトする)ことで、初回購入者にとっては市場最大のライバルのひとつが消えることになります。過熱していたオークションの価格上昇が抑えられ、資金面で苦戦していた若年層が適正価格でマイホームを取得しやすくなるという、大きなメリットが期待されています。
実際のところ最近売却でお預かりした物件に対する反響には初回購入者から問い合わせが増えてきたように感じています。
