2025年のオーストラリア不動産市場は、全国的に価格と賃料の上昇傾向が続いています。その中でも特に勢いがあるのが、クイーンズランド州のゴールドコーストです。人口流入が継続し、成長に伴うインフラ投資や、就労機会の拡大、クオリティ・ライフの実現の三拍子が揃うこの地域では、住宅価格と賃料の双方が強含みの状態を維持しています。
不動産調査会社Corelogicのデータによると、2025年中盤時点でゴールドコーストの住宅価格の中央値価格は約106万豪ドル(約1億6百万円)と前年比+5.9%まで上昇しており、全国でも上位の伸び率を示しています。賃貸市場も極めてタイトで、空室率は2.1%前後と依然として低水準のまま。賃料はここ1年で約5.2%上昇しており、「借りたくても借りられない」状況が続いています。因みに、2.1%の空室の意味は100戸物件があると2戸しか空きがないという状況です。
こうした背景には、明確な人口動態の変化があります。クイーンズランド州は他州からの転入が突出しており、2024年から2025年にかけての純流入人口は約5万8,000人に達しました。国内外からの移住者・不動産投資家が集まる一方で、新築の供給は建築コストの高騰と人材不足により遅れ気味です。州全体の建築コストはこの10年余りで86%上昇しており、開発業者の採算を圧迫、新規開発案件も採算が取れず見送りというケースも相次ぎ、供給不足に拍車がかかっている状況です。
さらに、インフラ整備の進展も地価を押し上げる要因です。現在建設中のCoomera Connector(第2高速道路)は、ゴールドコーストと近郊の新興住宅街、そしてブリスベンを結ぶ新たな交通動線として注目されており、完成すれば通勤圏が広がり、ゴールドコーストの北部・内陸部の住宅地価に追い風が吹くと見られています。こうした構造的要因のもと、ゴールドコースト不動産は「高値圏でも需要が止まらない」局面にあります。
もっとも、リスクがないわけではありません。金利は依然として3.6%前後で推移しており、住宅ローン負担の重さが一部の購買層を圧迫しています。加えて、急速な価格上昇の反動調整や、建築コストの高止まりも懸念材料です。とはいえ、賃貸需要の強さと供給不足の構造は短期的には解消しそうにありません。つまり、不動産を持っている人が勝ちの状況は暫く続くことになります。
今後1〜3年の見通しとしては、ゴールドコースト北部やブリスベン南縁など、インフラ整備と人口流入の波が重なるエリアが引き新たな成長ゾーンとなる可能性があります(既にその波は押し寄せています)。適正価格の物件を見極めつつ、賃貸利回りや出口戦略を意識した“現実的な投資”を行うことが、次のチャンスを掴む鍵となるでしょう。
*情報出所: Corelodgic.
