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オフザプランの続々編(時間軸)

先のブログで、オフザプランは「安く買う」ための手法ではなく、“時間を資産化する投資戦略”であるとお伝えしました。その中で特に重要になるのが「時間のとらえ方」です。この「時間」には、一つではなく二つの側面があります。前回は、時間の経過とともに資産価値の上昇が期待できる、というポジティブな側面を中心に整理しました。ではその逆に、時間が「リスク」として作用する場合はどのように捉えるべきなのでしょうか。

時間は「猶予」ではなく「変化の余地」たとえば、完成が3年後のオフザプラン物件を検討している状況をイメージしてみます。この「3年」という時間を、 ゆっくり準備できる時間(時間を稼げる) と見るのか、環境が変化していく時間 と見るのかこの前提の違いによって、投資判断の質は大きく変わります。

オフザプランは「現在の条件を固定しておく投資」ではなく、むしろ「未来に耐えられる条件で契約しておく投資」と理解するほうが本質に近くなります。つまり、今の市場や環境が3年後も同じであることを前提にしない姿勢が必要です。

これは机上の話ではありません。ゴールドコーストのサウスポートという地区でも過去に、まさにこの「時間の解釈」の違いが投資成果を分けた事例がありました。当時、物件の在庫が極端に少なく、さらに金融緩和も追い風となる中で、ある大手デベロッパーが 3棟・合計約800戸の大型プロジェクトを一気にオフザプランで販売しました。革新的な企画として注目され、多くの投資家が購入に踏み切りました。

しかし 2009年、これらの物件を含む大量供給がほぼ同時に完成・市場投入され、地域の空室率が急上昇(データを参照)。さらに高金利局面も重なり、市場価格は大きく調整され、多くの投資家が購入額を下回る価格で物件を手放しました。

このケースが示す本質は、「金利が変わるかどうか」ではなく、「変わることを前提に、投資戦略を設計していたかどうか」によって結果が分かれたという点にあります。情報の量や精度以上に、「時間をどう解釈していたか」がリスク管理の分岐点になったと言えます。

オフザプランを判断する際に、意識しておきたい2つの視点は、完成までの期間を「安心の猶予時間」とではなく、「環境が変化していく前提の時間」として捉えること「変わらないこと」を期待するのではなく、「変化が起きても対応できる設計・余白があるか」を判断基準とすること。

この「時間の解釈」が整理されているだけで、オフザプランへの視点は一段深まり、より現実的で柔軟な投資判断につながっていきます。

ちなみに、前出のサウスポートの現在の状況ですが、家賃・価格ともに上昇しており、市況が一時的に悪化した局面でも慌てて手放さずに保有を続けた、計画性を持った投資家は良い果実を得ています。

*グラフはSQM Researchより

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