オーストラリアでは、住宅不足 が深刻化しています。需要が供給を上回る状況は過去から続いていましたが、特にコロナ禍収束以降は人口流入や建築コストの高騰などが重なり、物件の品薄に拍車がかかっています。
オーストラリアの住宅不足が深刻化する中で、特に苦労しているのが初めて住宅を購入する若い世代です。この層は銀行から融資を受けて購入資金を用意しますが、その際に課される条件が「物件価格の20%は自己資金で準備してください」というものです。例えば70万ドルの物件であれば、14万ドルの頭金が必要になります。
たださえ物価が高いオーストラリア。実際に家賃を払いながらこの額を貯めるのは非常に難しく、豪州統計局の統計では頭金を貯めるのに7〜10年かかるとも言われています。
加えて、不動産の価格は上昇していますので、例えば7年後にやっと14万ドルが貯まったとしても、その時には70万ドルの物件は100万ドルになっているかもしれません。
これでは、いつまでたっても買えません。。。
そのような問題を解消するために導入されたのが First Home Guarantee (FHG) です。直訳すると、”初めての住宅購入保証制度”となりますが、この制度は政府が銀行に保証を与えることで、購入者はわずか5%の頭金でも融資を受けられ、さらに2〜3万ドルも係るという住宅ローン保険も不要になります。
この仕組みのポイントは、政府が直接購入者にお金を出すわけではなく、銀行に保証を与えているという仕組みです。銀行が20%の頭金を購入者に求める理由は仮に不動産の価値が20%下落しても貸したお金を回収することができるという目論見を持っているからです。この部分を政府が保証しますよ(5%は買主+15%は政府保証)、ということになると銀行はは安心して貸し出せるようになります。
その結果、購入者は5%の頭金で、尚且つ住宅保険を払わずに済み、今、或いはもっと早い時期に市場に入ることができます。
この制度ですと、住宅価格の上昇で「若い世代がなかなか持ち家を持てない」という社会問題を解決でき、銀行にとっては融資を拡大できる仕組みでもあるのです。
もちろん借入額が大きくなる分、返済負担や金利上昇リスクには注意が必要ですが、条件が合えば大きな後押しとなります。
ただ、今以上に住宅不足に拍車がかかる側面もありますが。。。
※この制度は、豪州の市民権または永住権を有している方を対象としています。
