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オフザプランの続編(投資判断)

オーストラリアの不動産市場では、オフザプラン(完成前販売)物件が安定して取引されています。先のブログで案内の通り、まだ建物が完成していない段階で購入を決めるわけですから、不安やリスクを感じるのは当然です。それでもなお投資家の関心が途切れないのは、オフザプランが「安く買う」ための手法ではなく、”時間を資産化する投資戦略”だからです。まさに、Time Value of Moneyの観念がズバリ当てはまるのがこのオフザプランとなります。

ただしこの投資方法で結果を出すためには、単に条件や表面的な利回りを見るのではなく、“判断軸そのもの”を持っているかどうかが大きく問われます。そこで以下では、判断できる投資家になるために最低限押さえておくべき実務視点のポイントを、整理してお伝えします。

まず最初に意識すべきは、1. 建築の遅延やキャンセルは「発生し得るもの」だと理解しておくことです。とくに近年は建材コストや人件費の上昇が影響し、当初3年の予定が4年に延びたという事例も珍しくありません。だからこそ重要なのは「このプロジェクトは最後まで完成されるのか?」という視点でデベロッパーの体力・完工実績・資金調達力を見ることです。売り文句の良さよりも、「築き上げてきた信頼性」が評価基準になります。

次に、2. 金利や賃貸需給の環境は「今」ではなく「3〜4年先」を基準に考えるということ。完成後の家賃やROI(投資利益率)を、現在の相場前提だけで計算するだけでなく、完成時そしてその後2〜3年、さらにその後の再評価のタイミングまで視野に入れ、現金収支シナリオを描くのが投資家の思考です。

そして、3. 出口戦略(つまり売却です)。多くの初心者は「完成したらすぐ売れるかどうか」に注意を向けますが、本当に見るべきは「完成から3〜7年後に価値を維持・または上昇を見込める立地かどうか」です。人口、雇用、交通再開発、教育都市化、国際的なイベント等──街自体のストーリーを読む力が、出口の質を決定します。

さらに、4. オフザプラン投資は「頭金10% → 数年後に90%支払い」という、時間差型キャッシュフロー投資であることも忘れてはいけません。重要なのは引き渡し時点の数字ではなく、その先の家賃改定や借り換え余力まで含めて設計すること。「完成からが本当のスタート」というイメージを持てるかどうかが成功率を分けます。

最後に、5. 「避けるべき案件」を見抜く力です。たとえば、同一エリアで供給が急増しているプロジェクトや、「豪華な設備」で見せ場を作っているだけの開発、周辺の生活・教育・就業人口の伸びが読めない立地──こうした物件は完成時に「買う人ではなく供給者の都合」で設計されている可能性があります。「街の成長性」を軸に判断できるかどうかが、重要なポイントとなります。

オフザプランは、たんに「完成を待つ投資」ではありません。「未来に向けて、時間の価値を固定する投資」です。

何を買うかよりも大事なのは、誰から・どこで、どのようなコンセンプト(竣工日も含めて)の物件を、どのタイミングで買うか?その辺りを見極めることが、重要なポイントとなります。

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