先日、ブリスベン市副市長をはじめとする代表団の皆さまとともに、日本でのビジネス視察ツアーに参加させていただきました。視察のメインの目的の1つは、2032年にオリンピック開催を控えるブリスベンが、2021年に東京オリンピックを成功させた日本から、都市開発や大会後の「レガシー活用」に関する貴重な知見を学ぶことでした。
視察の中でも印象深かったのが、東京オリンピック・パラリンピックの選手村跡地の訪問です。かつて選手たちの滞在拠点だった場所が、わずか数年のうちにまったく新しいコミュニティへと生まれ変わっていました。たとえば、大会中に食堂として使われていたビルは現在、学校として地域の子どもたちの学びの場になっており、選手たちがトレーニングに使っていたジムの建物は、今では住民向けのショッピングモールに。街の中を歩いていると、ここがかつて世界中のアスリートたちが集まった場所だったとは思えないほど、地域に溶け込んだ暮らしが営まれていました。
単なる施設利用の転用というだけでなく、オリンピック開催がきっかけとなって都市機能が再構築され、新しい地域コミュニティが形成されている様子に感銘を受けました。運営効率だけでなく、「人が暮らす場所」としての未来像まで見据えて設計・活用されていました。
ブリスベンにとって、2032年のブリスベンオリンピックは、街の未来を左右する一大プロジェクトです。現在、ブリスベンではメインスタジアムの最終決定や、選手村開発に向けた調整が進んでいます。東京から得た学びは、そうした都市計画やインフラ整備において大きなヒントとなるはずです。
大会後に一過性で終わるのではなく、地域にとって本当に価値あるものをどう残すか。それは、経済や交通だけでなく、教育・健康・暮らしといった日常生活にどう残すか。
これからどのように、ブリスベンの街がオリンピックをきっかけに変わっていくのか。選手たちが集い、競い、去ったあとに、そこにどんな暮らしが根づくのか。そういった未来を思い描きながら、改めて都市の可能性を感じた視察となりました。
2032年を目指して、ブリスベンがどんな姿へと進化していくのか、今からとても楽しみです。







