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オーストラリアの不動産売買契約の今と昔

コロナ禍の影響もあり、豪州では不動産取引を電子的に済ませることが一般的になってきました。出先でもスマホで売買契約関連書類に電子署名ができたりするので、業界に長くいるものとして世の中随分と便利になったなとつくづく感じます。
売買契約の締結の仕方といえば、過去に業界泣かせの業法改正がありました。
景気が良い時に、完成前物件を購入した人が完成時にお金を準備できず、その結果、売主が手付金没収、そして訴訟されるという状況が多発。買手も必死に応酬。その時の買い手の主な言い分が、1. 契約前に条件について十分な説明と、2. 十分な警告を受けなかった、です。
そこで州政府は、消費者保護の観点から業法を改正して、売買契約前に契約書の一番最初のページに大きな文字で「WARNING」という文字と、1. 契約する前に法的なアドバイスを受けること、2.不動産鑑定額を入手すること、という説明が記された法定警告書を添付しなければならないとしました。この法定用紙はPAMD (パムダ)Form 30Cと呼ばれ、業界ではDeal Killerと酷評されていました。
買手から見ると勿論十分に警告を受けていますが、警告を受けすぎて購入を躊躇することも多発。実はこれは(取引の減少)は不動産業者だけの問題ではなく、法律事務所、建築事務所、建設会社、会計士事務所の仕事の減少にも繋がっていくことから(不動産業は裾野が広いのです)、普段は紳士的に振る舞っている業界からも苦情の声が上がり、Form 30Cの添付義務は廃止されました。しかも簡単に。。。
電子契約でサクサクと業務が進む現在、警告書を売買契約書の一番上に添付し、お客様に提示すすることで商談が進まないのではないかと心配していた頃がとても懐かしく思え、「世の中、便利になった、いや、素晴らしい。良かった」とお年寄みたいな言葉を多発する今日この頃です。
↓↓画像はディールキラーと酷評された法定用紙です。現在は廃止されています。

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