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コロナ禍のオーストラリア人口動態と不動産市場

2020年3月11日、WHOが、コロナウイルスの世界的な流行を意味するパンデミックを宣言して、半年。感染者数の累計が、全世界で約2,800万人、死亡者数が約90万人に達し、世界的には、抑え込まれている国がある一方、インドのように、急激に増加する国もあり、まだまだ、収束が見えない状況です。

オーストラリアでは、感染者数が約2万6,000人、死亡者数が788名と、昨今、VIC州(ヴィクトリア州)で感染者が急増しているにも拘わらず、世界的に見れば、抑え込みに成功しているといます、しかしながら、ウイルスを抑え込むために、ロックダウン、州境封鎖など様々な行動規制を実施しているため、経済活動は、大きなダメージを受け、29年間続いていた経済成長も、今回、景気後退(リセッション)に突入しました。コロナ禍は、オーストラリアの経済成長のエンジンである人口増にも影響を及ぼすと、財務省が発表しました。ABS(オーストラリア統計局)の発表によれば、昨年2019年12月31日の時点でオーストラリアの人口は、約2,550万人に達し、この年は、約35万人の人口増があり、増加率は1.4%、その内の約40%が自然増、そして60%にあたる21万人が海外からの移住者による人口増でした。今回の発表によると、2020/2021年(7月から6月までの会計年度)の、人口増加率は、コロナ禍の国境封鎖の影響で、海外移住者数の減少により、0.6%と、1917年以降最低の増加率になると予想しています。この減少は、すでに、不動産市場、特に移住者の84%を占めるシドニー、メルボルンで大きな影響を及ぼしています。特に、移住者の70%は、賃貸をしているので、賃貸の空室率が上昇しています、SQMリサーチのデータによると、シドニー市内(郵便番号2000番)では、コロナ感染が本格化した今年の2月の空室率、4.6%から、急上昇して、7月は13.2%に達しました。空室率が上昇すると、賃貸市場は、借り手市場になり、家賃が下降します、その結果、ローンを組んで購入した投資家のローン返済に影響し、返済に困窮する投資家は、保有物件を売りに出すため、不動産価格も下降するという悪循環に陥る可能性があります。

このように、コロナの影響は、短期的には、不動産市場に影を落としそうですが、一方では、前述のとおり、オーストラリアは、コロナの抑え込みに成功しているため、注目を集めていることも事実です。オーストラリアは、地理的に、いい意味でも、隔離された島国で、歴史的にも、害虫やウイルスなどの外敵の進入には、非常に敏感で、厳しく対応しています、私も、初めてオーストラリアに来た時に、シドニー空港着陸後、機内で殺虫剤を散布され、驚きと安心を覚えました(現在は、行っていません)。

今回のコロナで、オーストラリアはクリーンな国として、世界的に認知され、すでに、査証取得を代行する移民コンサルタントには、問い合わせが増加しているそうです。このことを考えると、長期的には海外からの移住者数は、再び、増加し、不動産市場も回復すると予想されます。

いずれにしても、一日も早いコロナの終息を祈るばかりです。

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