賃貸事業は、オーストラリアでは、非常に人気の高い投資対象です。様々な節税が可能で、かつ、人口増加による住宅需要は高く、ゆえに資産価値も保全され、換金性が高い、などの様々なメリットがあります。特に昨今、政策金利が、史上最低の0.75%となり、銀行の定期預金の利率も、2%を切っている状況ですので、投資ポートフォリオを銀行預金から、賃貸事業に変更する人も増えています。賃貸事業投資が増えると、需要を見込んで、開発業者も新規開発案件を立ち上げ、雇用を含めて、地域経済に貢献し、かつ、住宅供給数が増えると、空室率、家賃が安定し、テナントにとってメリットがあります。
しかしながら、今回、この賃貸事業投資に水を差す可能性のある、賃貸規約の変更を、クイーンズランド州政府が提言し、業界専門家の間では、危惧を抱いています。
変更点は、家主の権利をはく奪し、借主(消費者)有利になっている点です。
例えば、家主が賃貸の更新を拒否する権利を奪う、つまり、借主が賃貸契約の更新を希望した場合、法的に認められた事案以外の理由では、断ることが出来なくなります。
また、そのほかにも、テナントがペットを飼いたい場合、家主は断ることができない、物件を改装を家主の同意なしにできる、賃貸物件のスタンダートを課すことが出来る(つまり、物件の質の最低レベルが設定される)などがあります。
業界専門家は、これらの変更が実施されると、家主の負担が増し、家賃の値上げに繋がり、また、賃貸事業意欲を削ぎ、物件の売却に繋がり、賃貸物件数の減少や新規開発案件の停滞につながると、懸念を表明したようです。
日本では、賃貸事業は、借主(消費者)が有利になっていますが、現状、オーストラリアでは、家主、借主の権利バランスが保たれているので、今回の変更提言の行方が気になります。