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観光業と開発事業

「観光亡国論」という本を読み始めました、著者は、2000年代に、京都の旧町屋を購入して、観光客が宿泊できるように改装したアレックス・カー氏です。昨今、日本は、空前のインバウンドブーム、2018年の訪日外客数は約3,100万人に、そして、2019年1月から7月までの数は、約1,960万人と、年間4,000万人に迫る勢いです、オーストラリア人にも人気で、年間約60万人が訪日して、今年は、ラグビーワールドカップも開催されるので、ラグビー大国オーストラリアの応援に、更に多くのオーストラリア人が訪日すると思います。
訪日観光客数の増加による、経済効果を期待する一方、観光公害が問題になっていて、この本は、その「観光公害」に対する提言のような内容です。

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この問題は、日本だけでなく、世界的に問題になっていて、背景には、増加する中国人旅行者にあります、人口が約14億人、そして、その10%が海外旅行をしているという、日本人全員が海外旅行をしているという状況で、もちろん、中国からだけでなく、経済成長著しいアジア諸国からの旅行者も増え、また、LCC(低価格航空会社)により、海外旅行が身近になったという影響もあります。私も、先日、30年ぶりに、世界的にも人気の観光都市、フランスのパリ、イタリアのベニスを訪れましたが、観光客の多さに驚きました。

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【パリもオーバーキャパシティー?】  

話を日本に戻しますが、急速に増加する訪日観光客の影響で、各地でホテル、宿泊施設の建設ラッシュで、京都でも、町家を壊して、ホテル建設が進んでいるようです。著者のように町家を改造して宿泊施設にするのであれば、京都らしい街並みが保全されますが、経済性を重視したホテルとなると京都らしい景観が壊れてしまいます。著者は、野放図な開発が、観光地の魅力を損ね、将来的には、観光客の減少につながることを憂慮し、警鐘をならし、都市開発の規制強化を行政に対して促しています。例えば、ゾーニング規制、街を、いくつかのゾーンに分けて、ゾーンによって、ホテル開発はできない、建物の階数は、10階までなど、行政が規制する方法です、このゾーニング規制は、国際的な観光地ゴールドコーストでは、すでに採用されていて、ゾーニング規制によって、居住建物のみ建設が可能地域、ホテルなどの商業施設も建設が可能地域、複合の地域、また、高さ制限があり、開発業者は、ゾーニング規制を考慮して、建設場所や開発規模を決めます、そして、場所を決めた後、市役所に開発許可の申請をします。市役所は、建物の外観、環境や近隣住民への影響などを精査して、許可をします。このような規制や看板規制などの様々な開発規制のお蔭で、街並みは、統一感があり、観光地としての景観も守られます。日本は、歴史的な建造物、山や海自然美、魅力的なダイニング、文化、などなど、数えきれない魅力があるので、観光立国も十分可能だと思います。そのためには、行政の規制緩和、規制強化、そして、都市開発のマスタープラン、そして開発業者も、その場限りの利益追求でなく、将来を見据えた展開が望まれると感じます。ゴールドコーストの過去約30年の観光業の推移を顧みると、観光地として成功するためには、計画的な街づくり、そして、そのプランに基づくホテル開発を含めたインフラ整備は、重要だと痛感します。

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