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[メルマガ] ブリース洋子公認会計士事務所 2019年2月号

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ブリース洋子公認会計士事務所
Yoko Briese Accounting & Business Services

お子さんの学校も始まり、いつも通りの生活に戻られた方も多いかと思います。お子さんがPrep(小学校準備の学年)を始められるというご両親の心中は複雑なのではないでしょうか? 「やっと自分の時間を持てる」とうい気持ちが勝つのか、「寂しい。もっと手元に置いておきたい」という気持ち勝つのか? 筆者にとっては、昔のことですが、今だったら後者の気持ちかな?

今月のメルマガをお届けします。

総選挙と税制

例年5月初旬に発表される連邦政府の予算案は、今年は4月2日に発表されると、モリソン首相がメディアに伝えたのは、昨年の11月28日です。これは、総選挙を今年の5月18日までに行わなければならず、支持率が最大野党である労働党より下回っている与党保守連合は、それまでに、減税や公共投資などで、何とか有権者にアピールするためだと言われています。 

勝利が予想される労働党・・・どのような政策があるのでしょうか? 2018年12月16日から18日に開催された第48回国民会議において、労働党は、その主な政策草案をまとめました。この中で、主な税金に関する政策を以下にまとめました。

  • 個人納税者一人につき、一年で申告できる経費を$3,000未満にする。
  • キャピタルゲインへのディスカウント*を50%から最大で25%に減らす(*オーストラリアの居住者が、12か月以上所有する財産を売却または譲渡した場合、利益の50%にのみ課税されるというルールのことです)。
  • ネガティブギアリングを新築不動産に限定する。株や中古物件への投資を新たに行った場合には、そこから発生する赤字は、他の投資収入に対してのみ相殺できるという案もある(給与との相殺はできない)。
  • 家族トラストからの分配については、最低で30%の課税。

かなり「強気」の政策と見られますね。 少しはありがたい変化もあるといいですね・・

タックスエージェントにとっては頭が痛いお話

オーストラリアの会計・税理事務所は、Tax Practioners Board (TPB)という政府の機関から、タックスエージェントとしてのライセンスを許可されて初めて、納税者の代理で税申告書の作成や申告をすることができます。TPBは、自身の税申告や納税ができていないタックスエージェントも多く存在するので、しっかりするようにと呼びかけています。

このような仕打ち(!)の背景には、以下のような統計が原因になっているようです。

  • 全体の5%の税理士(オーストラリアではTax Practionerと言われています)が自分の所得税や消費税申告を遅れて申告している。
  • 全体の7%の税理士が、オーストラリア国税局と分割払いの交渉もせずに税金の滞納をしている。
  • Self Manged Super Fund(自分で作り管理する小さい年金ファンド)を通して税理士事務所をしている税理士のうち2,700名が、そのファンドの税申告を期日までにしていない。

「医者の不養生」と同じで、「税理士の未申告」ということでしょうか・・?

もしもの時の備え- エステートプラニング

エステートプラニングという言葉をお聞きになったことはありますか? 日本人には馴染みの薄い言葉です。相続という問題や死の前段階のための計画のことを言います。税金と法律の両方の面から計画し、資産価値の大小に関係なく、自分の意思に反映した形で、自分の持ち物が、愛する家族に遺されることを計画しておく必要があります。 また、ご自身が事業主である場合には、事業継承についても計画しておく必要があるでしょう。

ここオーストラリアでも高齢化は進んでいます。7人に1人は65歳以上(約380万人)、いわゆる団塊の世代は、全人口の25%ですが、国全体の55%の資産を所有しているという統計です。そして、今まさに段階の世代からの資産が若い世代に受け継がれようとしている時期になろうとしているようです。

エステートプライングをしておくことにより、予期しうる様々な問題への戦略ができます。例えば、未成年のお子様たちを守ることができたり、家族間の遺産をめぐる醜い争いを防ぐ、再婚などにより起こる本来亡くなった方とは血縁関係のない人物の介入を防ぐ、すぐには現金化できない資産の管理計画などを立てることができます。

効果的なエステートプラニングをするためには、専門の弁護士さんへのご相談が必要となりますが、私ども会計事務所もアドバイザーチームとしてお力添えすることができます。

父親と息子は相互依存していない?

最後は、ちょっと切ないお話しですが、かなり複雑な家族問題も絡んでドロドロです。最後には、裁判所の判断に委ねた形になった例です。

オーストラリアで仕事をしていた息子さんが亡くなった後、オーストラリアのスーパーファンドからの保険金支払いについて、アメリカに住む父親が起こした申し立てについてです。

亡くなったのは、アメリカ人の男性です。離婚していて配偶者もお子さんもいませんでした。2011年5月に2週間の休暇をとって故郷アメリカに帰り、父親とともに過ごしました。しかし同年11月に31歳という若さで亡くなりました。

このファンドのルールによると、ファンドのメンバーが亡くなった場合、保険金は、法定代理人(そして、法定代理人が遺書に則り受益人に財産分与をする)または扶養家族に支払われるということになっています。このケースの法定代理人は、亡くなった方のご兄弟でした。

アメリカに住む父親は、自分と亡くなった息子は、相互扶養の関係にあったとして、保険金の受取を要請していました。しかし、裁判所としては、息子さんは、父親の元に休暇中に訪れたに過ぎず、亡くなっていなくても、これからも同様に一人でオーストラリアで生活し続けるという行動パターンが予測される(父親と相互扶養の関係性が見られない)として、父親の申し立てを却下しました。結果、ファンドのルールに従い、保険金は、遺書により法定代理人(ご兄弟)に支払われました。遺書による受取人が誰であったのかは不明ですが、アメリカの父親ではないということです。法定代理人は、遺書に則り、受益人に遺産を分配したと思われます。

上記の内容について、ご質問やコメントがありましたら、以下までどうぞ!
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