東日本大震災、原発の問題は連日こちらのメディアでも取り上げられています。被災者の苦しい生活状況、また、痛ましい映像には本当に心を痛められます。
一方で厳しい状況の中でも望みを捨てず懸命に生きていこうとうする人々達の精神力、力強さが遠地にいる私達にも激しく伝わり逆に励まされることも多々にあります。改めて恵まれた環境で生活していることに感謝しつつ、状況が一日でも早く好転することを切に祈る毎日です。
さて、簡単ではございますが、最近の当地の不動産市況をご案内申し上げます。
昨年度の終わりごろまでは比較的不動産の売買、特に40万ドル〜50万ドル価格帯の家屋は、活況がありましたが、最近この市場でも取引が鈍化する傾向が見られます。
不動産を購入する際、その殆どを融資に依存する市場は、先行きの公定歩合の上昇、それに伴う金利負担(最近の銀行からの借り入れ金利は7%後半になりました)、を懸念し購入を控える雰囲気があり、また先の世界金融危機に伴い不動産融資に対する審査が以前に比較し厳しくなりファイナンス市場に影響を及ぼしています。 また、景気対策の一環として、初めて住居を買う人に対して政府が打ち出した購入資金の一部援助策は不動産の市場の底上げに大きく寄与したものの、逆に市場の先食いをしたという側面もあり、それらも重なり物件の売買が鈍化しているともいわれています。加えて、先のブリスベン大洪水、北部でおきた大型サイクロンの経済的損失も徐々に市場に影響を及ぼしているのでしょう。
実際に過去3ヶ月間の不動産中間価格動向をみましても6%ほど価格が下落しています。現場レベルの実体験として、弊社で手がけた15ロットの宅地と建売分譲事業も、第一ステージの宅地販売(9ロット)は好調に完売いたしましたが、昨年の後半あたりに市場が一転したこともあり、45万ドル台の建売(6ロット)は完売に至るまで結構時間がかかりました。
一方で、今、”買える方”の動きは活発です。売主への価格条件は厳しいものの、契約日より30日で即決済(現金払い)という条件は、次の生活設計を考えている方、新たな資産形成を考えている方、損をして得をとる方、支払う金利が精神的に負担になっている方には返って好条件となり、即商談がまとまるというケースもあります。
資源関係の景気は相変わらず良く、また、自然災害の復興需要がいつごろ顕著になるのか、それらの恩恵(他力本願になりますが)をゴールドコーストの不動産市場はいつ享受できるのか、業界では常に関心の高いテーマとなっていますが、強含みの市場に転じるのは少し先のように思えます。
ワイドエステート 砂川 盛作/新堀 由香子/早川 忠義