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現在の不動産市場で留意する点

img_melmaga_apr10.jpg皆様、いかがお過ごしでしょうか?
さて、最近メディアではオーストラリアの不動産市況が好調とのニュースが報じられています。不動産をお持ちの方には朗報ではございますが、その情報の内容について若干留意しなければいけない点があります。今回はその点について簡単にご案内させて頂きます。
各メディアでは景気の回復に伴い不動産市況も活気付いていると報じられています。確かに昨年度に比較すると不動産市況は大変良いのですが、意外に知られていない事として、現在、当地の不動産業には「元気のある市場」と、「元気がない市場」があるという点です。メディアでは「元気のある市場」が日々大きく紹介されることから、多くの方は、「不動産全体の市況は良く、今、売却をすれば高い値段で売れるのでは?」と思ってしまうようです。
不動産業は大きく分けると“住宅市場”と“事業用不動産市場”に分けることができます。“住宅市場”とは、マイホーム取得者を中心とした実需市場であり、“事業用不動産市場”とはオフィスビル、分譲用地、ホテルなど、主に“投資や利殖”を目的とした市場です。


現在、不動産業で市況が最も良いのは、マイホーム取得者を中心とした“住宅市場”で、メディアではこの市場の朗報を毎日のように報じています。 一方で“事業用不動産市場”は依然厳しい状況が続いています。
“住宅市場”は40万ドル〜50万ドルの価格帯を中心に好調ですが、その要因として、景気浮揚策である住宅購入補助金と低金利政策等の政府の後押しがあり、また、銀行が積極的に融資を行い、売買を活性化させていることから、不動産価格は勢いよく上昇に転じています。実際に、政府や中央銀行、そしてエコノミストの間で“住宅市場”は今後も上昇すると度々コメントされており、それがメディアで大きく取りあげられ、この分野の市場は常に注目されています。
一方、“事業用不動産市場”はリーマンショック以降の企業の倒産、不良債権の増加、物件の投売り、それによる価値の下落が続いており、従って金融機関もこの分野の融資に消極的になっており、結果、市況が弱含みの状況が続き、価格に好転の兆しがみえておりません。昨年度には大手の開発会社が数社倒産し大きな話題となりましたが、今年に入り、更に中規模の開発会社が3社ほど倒産し、雰囲気は消沈としております。また、同じ住宅市場でも“高額物件”の動きは鈍く、価格が大幅に下落に転じていることから、この市場におきましても金融機関の融資姿勢は慎重で、結果、売買が鈍化しているのが現状です。加えて、今年に入って、ユニット市場が大方の予想に反し振わっていません。
一口に不動産市場とはいいましても、幾つかのカテゴリー(分野)に分かれ、またおかれた状況や環境により市況の善し悪しが異なる場合がありますので、メディアなどの情報を額面どおりに受取る前にカテゴリーごとの市況の情報を収集し、参考にすることをお勧めいたします。

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