以前のブログでも少し触れましたが、ブリスベン市は、2026年7月から導入予定だった短期宿泊施設(いわゆる民泊)に関する新たな規制計画を、一旦中止すると発表しました。
この規制はもともと、住宅不足、騒音問題、近隣トラブルなどへの対応として、特に低密度住宅地における短期宿泊の許可条件を厳しくするものでした。
日本では「民泊」と一括りに言われますが、実際には複数の制度に分かれています。
・旅館業法(簡易宿所営業)365日営業が可能。
・住宅宿泊事業法(民泊新法)営業は年間180日以内。
・国家戦略特区法(特区民泊)
私自身は、2010年頃から日本で実際に民泊運営をしてきたので、法整備前の時代から、2016年の民泊新法施行、その後のインバウンド需要による再拡大まで、流れを見てきました。
日本では、空き家問題や人口減少という背景がある一方、インバウンド需要も大きく、「安全性を確保しながら、空き家活用も進めたい」という方向で制度が整えられてきた印象があります。
一方、ブリスベンは状況が大きく異なります。2032年のオリンピック開催を控え、人口増加、住宅不足、不動産価格高騰という課題を抱えています。
今回の規制も、「短期宿泊が増える → 長期賃貸住宅が減る → 家賃高騰につながる」という考え方が背景にありました。しかし実際には、「民泊を規制したところで、本当にどれだけの物件が長期賃貸市場へ戻るのか?」という疑問も残ったようです。
さらに現在のブリスベンは、ホテル供給不足も深刻です。2032年のオリンピックに向け、短期宿泊施設は、観光・イベント・国際大会・ビジネス客を受け入れるための重要なインフラでもあります。つまり、ブリスベン市としても「もっと観光客に来てほしい」でも「住宅不足は悪化させたくない」という、非常に難しいバランスの中にあるのだと思います。今回予定されていた規制内容には、
・24時間対応可能な連絡先
・苦情への迅速対応
・必要時の現地対応
・保険加入
・スモークアラームなど安全対策
などが含まれていたようですが、これらは日本では既にかなり一般的な内容です。今回の発表は、「民泊歓迎!」という意味ではありません。むしろ今後は、“質の悪い民泊を淘汰していく方向”へ進む可能性の方が高いのではないでしょうか。その意味では、日本型の制度に近づいていく可能性も感じます。
ただ、このニュースを不動産市場という視点で見ると、ブリスベンの強さも改めて感じます。オリンピックによるインフラ投資、人口流入、観光需要、海外からの注目度。住宅不足が問題になるほど人が集まり、ホテル不足が議論されるほど都市が成長している。
もちろん課題はあります。それでも、オーストラリアの他都市と比較しても、ブリスベンにはまだまだ成長への期待感があると感じています。
