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オーストラリアの市民権テスト見直し

2019年度(会計年度)、過去最高の20万4,817人が、オーストラリアの市民権(オーストラリア国籍)を取得したとの記事を読みました。一般的には、外国人が永住権を取得し、その後、市民権を申請し、承認されるとテストを受け、合格すると、宣誓式で、正式に市民権が取得できるという流れになります。ちなみに、本年2020年8月31日付で、16万5,877人が市民権を申請し、審査を待っているようです、現在、申請から審査、承認までに、申請者の90%が、28か月、承認から宣誓式(市民権取得)までに9か月かかるとのことです、90%ですので、その期間より短い人もいれば、長い人もいます、いずれにしても、申請から2年ぐらいはかかると考えたほうが良さそうです。

今回、移民局は、10年ぶりに市民権テストの見直しをし、今までのテスト内容に加えて、オーストラリアの言論と宗教、結社の自由を含む、オーストラリアの中心的な価値についての質問を盛り込み、テストに合格するためには、多肢選択式問題の20問中、15問以上正解するとともに、オーストラリアの価値観に関する質問に正しく回答しなければならないとのことです。このテストの変更は、今年の11月15日から実施されます。なお、オーストラリアは、二重国籍を認めていますが、日本は認めていません。

オーストラリアでは、永住権と市民権保持者では、生活面では、あまり、変わりは無く、永住権者は、参政権、特定の職業に就け無い、ことぐらいで、年金、子育て補助金などの社会保障は、市民権保持者と同等に受けることができました。しかしながら、今回、コロナ禍で、クイーンズランド州政府が、経済対策の一環として始めたHOME BUILDER GRANT(ホームビルダー補助金)では、受給資格者は、オーストラリアの市民権保持者に限定されました。過去、このような住宅取得促進策、例えば、初めて住宅を購入する人に対して、A$15,000を支給する補助金(FIRST HOME BUYER OWNER GRANT)では、永住権保持者も対象であったので、今回、永住権保持者が除外されたことは、驚きを感じるとともに、コロナ禍で、約30年続いた経済成長が、景気後退(リセッション)に突入した国の財政悪化を考えると、今後、様々な社会保障が、市民権保持者に限定されるのではないかと予見します。単純に考えても、選挙において一票の資格が無い永住権保有者と1票を持っている市民権保持者で、受け取ることが出来る社会保障や補助金が異なることはうなずけます。

なお、前述のホームビルダー補助金ですが、75万ドル未満の新築物件の購入、もしくは、その価値の住宅を建築するオーストラリア市民権保持者で、かつ、年間の課税所得が個人でA$12万5,000(カップルでA$20万)以下の人(会社、信託は対象外)に、A$25,000の補助金が支給されます。また、A$15万からA$75万ドルまでの費用が掛かる住宅改築も、この補助金支給の対象です。

このような社会制度の変化により、今後、益々、市民権申請者が増えることが予想されます。